中学受験の浮力と密度の原理は,目に見えるもので体感させるだけで解けるようになる

中学受験の浮力と密度の原理は,目に見えるもので体感させるだけで解けるようになる

浮力は何回教えても解けない子が多い

大手の中学受験の塾ですと,浮力の問題は理解できない子も多く,大抵の場合難関を受験する子の指導のみにされてしまい,基本・標準レベルの子では概要を説明はしてくれるものの,理解が追い付かず,結局捨て問の位置づけをされてしまうことも多いのが実情。自分の子どもを教えたことがある方ならお分かりになると思いますが,とにかく理解してくれない。計算は公式だらけ。そしてどの公式を使えばいいのかわからない。親も教えているうちにこんがらかってわからなくなる。結局パターン問題のみに終止してしまい,親自身が解き方を忘れてしまったときには「解けなくてもいいか」となってしまいます。そのため,点数の差がとても開く単元なんですね。実際理系を重視する入試では,密度の問題を重視して出す学校もしばしばあります。付け焼刃な対応しかしていないと解けない子が多いため,メッキを剥がす効果が見込めるんですね。

そもそもなぜ浮力の問題が解けないのか?

大抵の場合,「密度」という言葉の意味を実体験として理解していないためです。大人は密度と言われればパッと感覚的に

密度が高い=ラッシュ時の通勤電車

といったイメージがわきやすいのですが,子どもが密度に関して実体験をすることは少なく,密度と生活がリンクしていないため,浮力もイメージできないのです。一応テキストには書いてあることが多いのですが,どれもこれも子どもの実体験とは離れていることが多く,なかなか実体験としてのイメージとはリンクできない。そしてイメージができないから公式の丸暗記に走る。しかし密度と浮力の問題の切り口は多種多様で,色々なパターンの問題が作れてしまい,どの公式をどの手順で使えばいいかがわからず解けないままになってしまう子が多いのです。

浮力で押さえるべきなのは3つだけ

  • 実体験に基づく密度のイメージを持たせる
  • 温度と体積,密度との関係をイメージさせる
  • 浮力の原理をイメージで理解させる

たったこれだけです。今回は教え子であるSONYの社員の子が,PHIの子どもたちのためにと言ってガリレオ温度計をプレゼントしてくれたので,ガリレオ温度計を用いた実例で簡単に紹介したいと思います。

ガリレオ温度計の原理を説明できるようになれば,浮力は公式を使わずにイメージで解けるようになる

ガリレオ温度計とは以下のようなものです。

東急ハンズロフトといった雑貨屋さんにも置いてあることが多く,目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。今回頂いたのはこの丸いタイプですが,柱タイプのガリレオ温度計の方がよく見るかも知れません。割れても面倒ですし,インテリアとして実際に使っている方は少ないようですが,これが結構子どもの興味を引き立てるのです。

ちなみに柱タイプは動きが大きく見えやすいのですが,子どもはこういうものを結構振り回します。すると柱タイプだとぶつけて割れやすいんですね。また,背が高いと重心が高くなってしまうため,ちょっと揺れたり引っ掛けたりするだけでも倒れやすく,その点球体なら子どもが扱っても事故が起こりにくいというメリットがあります。もちろん絶対に安全なわけではないので,取扱には十分注意して下さい。

ガリレオ温度計の原理は?

ガリレオ温度計は気温により中の液体の密度が変化し,ガラス球が浮き沈みします。この時に浮いているガラス球についたタグの温度表示で大体の気温が分かるというものです。

ガラス球の中にはパラフィンオイルというものが入っており,気温が暖かくなるとこのパラフィンオイルが膨張。膨張すると密度が下がるため,浮力が低下。これによりガラス球を浮かせるだけの力がなくなり,沈んでいきます。逆に気温が低くなるとパラフィンオイルが収縮し,密度が大きくなるため浮力が増加。ガラス球が浮いてきます。気温によりかかる浮力に合わせてガラス球の重さを変えておけば,気温に該当するタグが付いたガラス球が浮いてくるという仕組みです。

中学受験で押さえておくべき原理のイメージ

実体験に基づく密度のイメージを持たせる

まずは温度と体積,密度の関係を押さえておくべきでしょう。温度が上がると体積が膨張して密度が下がり,温度が下がると体積が収縮して密度が上がります。例えば教室をイメージして,その中にみんなで集まっているところを想像してみて下さい。夏に気温が上がると,みんなでくっついていても暑いので,べたべたせずに離れようとします。これが体積が大きくなり,密度が小さくスカスカになった状態。これに対して冬に気温が下がるとみんなくっついて熱を逃がさないようにしようとします。おしくらまんじゅうをすればさらに温度が保てます。この時みんな集まっているので体積は小さくなり,密度が大きくぎゅうぎゅうになります。

これと同じことがパラフィンオイルで起きており,気温が上がると液体が膨張して密度が低下気温が下がると液体が収縮して密度が増加します。

温度と体積,密度との関係をイメージさせる

次に密度浮力の関係についてです。沈んでいる物体の密度が周りの密度に対して大きくなると,沈んでいくことになります。例えば密度がスカスカな食器洗い用のスポンジを用意し,その真ん中へコップを置きます。このコップへ水を注いでいくと,体積が変わらないまま重くなることから,密度が大きくなる状態を再現できます。するとコップはスポンジへ沈んでいきます

水分子の様子までは目には見えませんが,同じことがガリレオ温度計の中で起こっているのです。つまり,気温が上がるとパラフィンオイルが膨張して密度が低下。先ほどの例で言うならば周りのスポンジの密度が低下,つまりさらにスカスカになっていったことになります。するとコップを押し上げる力も弱くなってしまい,コップが沈んでいってしまうというわけです。

浮力の原理をイメージで理解させる

最後に浮力について。浮力というのは沈んでいる部分の体積と,入っている液体の密度に左右されるものです。公式では色々と複雑なことが書かれていますが,大切なのはこの2つだけなのです。

例えば水の場合は密度が1gなので,100立方cmのものを沈めれば,100gの浮力が発生することになります。もし密度が水よりも大きな2gの液体を使った場合は,200gの浮力が発生し,逆に密度が小さい0.5gの液体を使った場合には50gの浮力になってしまうということです。

ガリレオ温度計の場合,浮力が働くのは中に入っているガラス球とタグの部分ということになります。例えばこのガラス球とタグの体積が全部1立方cm,重さが1g,2gの2種類で,液体の密度が現在1gだとします。すると1gのガラス球だけが浮くという状況になります。これが気温が下がり,液体の密度が2gになると2gのガラス球が浮いてくることになります。

大切なのは原理を説明することではない

ここで大切なのは理屈を説明させることではなく,イメージと無理なく連動させることです。結局いくら説明が正しくても,イメージと連動できていなければ子どもにとっては理解できていないのと同じ。結局公式に頼らざるを得なくなるという事です。実際PHIで私が教えるときは公式を全く教えていません。他塾で公式を学んで来る子もいますが,そういう子に限って理解が甘く,問題を解くことができないことが多いのです。極端な話,ガリレオ温度計を見て,

気温が上がる
  ↓
液体が膨張する
  ↓
密度が下がる
  ↓
浮力が低下する
  ↓
ガラス球が下がる

この流れをイメージで押さえておくだけでもいいのです。たったこれだけのことに集中するだけで,密度の計算,浮力の計算といった気象や物理の問題を解けるようになります

公式を覚えない勉強ならこんなことができるようになる

さて,公式も教えず原理のイメージだけに集中してどれだけ解けるのかといいますと,こんなことができるようになります。

このノートは私が温度と密度,浮力の関係について説明した後に,ガリレオ温度計の原理を考えさせたときに作られたノートです。他にも何人も書いていますが,書き方はみんなバラバラ。どういうことかと言いますと,板書を写させるような授業ではなく,基本原理を基に自分たちで考えさせて書かせるからまとめ方がみな異なるノートになるんですね。

そしてここまで自分の言葉でまとめ上げられる子はどんな問題を解けるようになるのかと言いますと,開成や東邦といった,いわゆる難関の問題が解けるぐらいになってしまいます。PHIに転塾して来たばかりの子も「こんな考え方教えてもらわなかった。」「ただ公式を覚えて解くことしか教えられなかった。」「公式も使わってないのに何でこんな(難しい)問題を自分が解けるようになっているのか不思議。」と話していました。大切なのは正しいことを正確に伝えるだけが教育ではないということです。正しい公式よりも根本原理をイメージし理解する方が結果的に解けるようになるものなのです。密度,浮力が苦手だという方は,慌てず,回り道しながら,こういうところから学ばせていってはいかがでしょうか。PHIならこのような身近な根本原理から学ばせていきますので,公式を忘れて解けなくなるということもありません。今の勉強方法に疑問を抱いている方は,このままの勉強方法で大丈夫なのかも診断することができます。詳しく知りたい方はぜひお問い合わせ下さい。

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